UNIQLOとZARAどっちが世界一?
…ライフウェアVSトレンドファッションの勝者は!
(毎週月曜日配信)経営編
GPC-Tax本部会長・銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司
■日本企業のUNIQLO〔ファーストリテイリング社〕がほぼ世界一のアパレルメーカーになりました。日本人として誇らしいことですね。
成熟したアパレル業界で、約30年前から快進撃を始めて勝ち取った世界一、私見ですが、この差は益々顕著になるはずです。UNIQLO〔ファーストリテイリング社〕というより、柳井社長が圧勝するはずです。
成熟化した業界でも、ルールの創造者が生まれる余地が十分にあることを同社は証明してくれました。
そもそも、アパレル企業の多くは、次のシーズンの流行・売れ筋予測をします。これが当たれば大儲け、外れたら大損、春夏商戦と秋冬商戦を繰り返しています。売れ残れば叩き売るか廃棄するか、博打的要素の強いビジネスです。
この予測レースに一石を投じたのがZARA〔インディテックス社〕の創業者オルテガ氏でした。流行を予測する時期を後送りすることで、予測の精度を上げる、そのために、発注から納品までの納期を短くする仕組み(サプライチェーン)を構築しました。ファストファッションと言われるビジネスモデルです。H&Mやフォーエバー21もこのモデルの追従者として、ファストファッションモデルを作り上げました。
ただ、このモデルのゴールは、短期・少量生産、高速物流です。「ファスト」を目指すほど短納期を強いられ、一部のファストファッションメーカーは空輸を常態化する状況でした。ロスは減らせても、そもそもの原価が高くなりすぎるジレンマに陥っています。
一方、UNIQLO〔ファーストリテイリング社〕は、需要予測競争には参加しませんでした。衣料品を「ライフウェア」と定義して、それを定番化する方向に舵を切ったようです。「ファスト」ではなく「超スロー?」ファッションです。東レと素材から開発したヒートテックは、今年で10年目、多分十億枚以上の累計販売数を誇るはずです。
肌着から部屋着、そしてライフウェア…ユニクロの「超スロー?」ファッションモデルは益々躍進するように思えて仕方ありません。
■経営者の視座、これがビジネスの明暗を分けます。
【並みの視座】
多くのアパレル企業経営者は、ファストとか、スローとか…こんな概念すら持ち合わせていません。ただただ、今まで受け継いできたやり方を踏襲する、改善することに躍起になるだけです。並みの経営者です。
【高い視座】
ZARA〔インディテックス社〕の創業者オルテガ氏は、予測の精度を上げるために、作る時期を後送りにする、それを可能にするためのサプライチェーンを作り直しました。すごい経営者です。
【高い視座】
UNIQLO〔ファーストリテイリング社〕の柳井社長は、予測する必要のない、流行に左右されない衣料品分野を創造しました。
すごい経営者です。
■具体事例を抽象化し、その上で、自社に当てはめるために具体化してください。
上記の事例は、アパレル業界だけの話ではありません。すべての業界、経営者に当てはまる内容です。この具体事例を一旦抽象化して理解し、自身に当てはめて具体化して活用してください。
- ◎貴殿は高い視座を持っていますか?
- ◎高い視座を持とうとしていますか?
- ◎自身に当てはめて、自分の視座を確認してください。
田中英司 (GPC-Tax本部会長・ 銀行融資プランナー協会代表理事)