OMO(オンライン事業とオフライン事業の融合)
…アマゾンが百貨店開設を発表!
(毎週月曜日配信)経営編
GPC-Tax本部会長・銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司
OMO(Online Merges with Offline)とは、オンライン事業とオフライン事業が融合することを意味しますが、多くのケースで、その主役はオンライン企業になりそうです。
■代表的な事例がアマゾンです。
アマゾンは、OMOを着実に進めてきました。
- 2015年、リアル書店、アマゾンブックスをオープン
- 2017年、食料品チェーン、ホールフーズを買収
- 2018年、自動コンビニ、アマゾンゴーをオープン
- 2020年、スーパーマーケット、アマゾンゴーグローサリー、アマゾンフレッシュをオープン
- 2021年、百貨店をオープンすると発表
※本年6月までの一年間の全米小売り売上高では、アマゾン(67兆円)がウォルマート(62兆円)を抜いて初めて1番になりました。尚、ウォルマート(SM)が百貨店シアーズの売上高を抜いたのは1990年でした。百貨店⇒スーパーマーケット⇒EC&リアルに小売業の覇者が変化しています。
アマゾンは、オンラインでEC市場を構築しながら、オフライン市場にも実店舗を展開しています。オンライン事業とオフライン事業の融合ですが、併せて、オフライン企業を凌駕しています。
ネット企業がリアル小売り企業等を駆逐することを「アマゾン・エフェクト」と呼んできましたが、これは【ネット】VS【リアル】、【オンライン】VS【オフライン】を指します。
一方、OMOは、ネット企業が直接リアルに参入することであり、上記とは意味が異なります。リアル企業にとってはより深刻です。オフライン事業は、そのオペレーションがオンラインに対して複雑だと言い切って支障ないと思います。故に、オンライン事業者のオフライン事業への参入は容易ではないと考える説も根強くあります。
一方、オンライン事業者はオフライン事業をゼロから構築する必要はなく、必要な事業を部分的に買収して事業を組み立てて行くはずです。また、オフライン事業者がオンライン事業を融合する折には、現存するオフラインの不要な部分を切り捨てる必要があり、この経営判断を行うことに耐えられる経営者はほとんどいないはずです。(社長任期6年程度のサラリーマン社長には難しいはずです。)
故に、ほとんどのOMOの勝者は、オフライン企業ではなく、オンライン企業になると推測します。
■金融・保険・物流…すべての分野でOMOが始まっています。
業界の構造が、パワーバランスが、何もかもが、急激に変わります。これが二十数年前に始まったIT革命のゴールです。
近い将来、メガバンクまでもが、どこかのIT企業(アマゾン)か、ひょっとすると、freee株式会社当たりの軍門に下る日が来るかもしれません。
■我々中小企業経営者は…
持たざる者、小回りが利くことをそのメリットと捉え、事業改革に取り組むしか方法はありません。事業立地の変更、プロダクトの創造、マネタイズの変更…DXを経営課題に掲げて、全身全霊とりかかる時期が来ました。
幸いなことに、大企業でない多くの中小企業に必要な売上は、ほんの数億円~数十億円であるはずです。
◎隆々と生き残り、成長する企業体を作りましょう。作れます。
- 昭和のルールにとらわれず、
- 強烈な同質化・価格競争を回避し、
- 新しい事業立地やビジネスの型を理解して導入し
- できれば、新しいルールの創造者としての地位を確保する
SP経営!=脱・昭和、令和の経営!
令和企業に転身しましょう。
田中英司 (GPC-Tax本部会長・ 銀行融資プランナー協会代表理事)