【経営コラム】 重要な経営法則(その6)

18.成長限界の法則(SP経営協会)
19.「経営は当たり前が難しい」(松下幸之助氏)
20.融資を受けるための数値計画作成のコツ (銀行融資プランナー協会)

(毎週月曜日配信)経営編
GPC-Tax本部会長・銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司

…前回からのつづきです。

自社の経営をより良くするためには、今のビジネスモデルに新しいアイデアを付加することが一つの道です。そのためには、様々な経営の法則を一つでも多く頭に入れてください。
経営者として知っておくべき知見は星の数ほどありますが、ほんの一部を紹介します。

■成長限界の法則(SP経営協会)

経営者の器量と余力の有無が成長限界を決めています。事業体は余力がなくなると停滞します。

◆総論として…
経営者の能力や想いの限界で成長は止まります。

  • 経営者は、自身の器量を大きくするための活動を続けなければなりません。より上位の世界に対する知見の習得、師と友作りです。同位以下との交流に明け暮れると、自身の器量を磨くことはできません。居心地の良い同位とのみ群れることが最悪です。
  • 成長を望むならば、成長に対する願望を持ち、具現化するための情報やスキルの習得に当たらねばなりません。想いの有無・強さは、事の成否に大きな影響をもたらします。

◆各論として…
余力がない状態でバランスすると成長は止まります。
継続的な成長のためには、収益余力と資金余力が必要です。これらを原資にして、経営者としての時間を確保する、人材を確保する、開発を行うことが必須です。

◇余力を作るためには…

  • 経営者として発想を転換してください。
    器量を大きくするための生き方・努力、ライフスタイル自体も変えねばならないかもしれません。
  • 絞り込んでください。(Simple化)
    力以上に広がってしまった事業領域・商品構成…等々を絞り込んでください。分散は、事業体としての力を削ぎ、生産性の悪化の元凶です。すべての余力を奪ってしまいます。
  • 値決めを再考してください。(Profitable化)
    安売りを止めて、高価格路線への転換を図ってください。価格政策のミスは、資金余裕と収益余力をすべて奪ってしまいます。場合によっては思い切った値上げを断行してください。停滞は余力がないことの証です。さらなる成長のために余力を取り戻してください。

上記の三つに取り組んでください。

※継続的に成長できる事業体は、20%近い営業利益を上げています。この余力が成長の原資になっています。逆に考えると、薄利の状態での成長は破綻の危機を招きます。薄利での拡大は危険です。

■「経営は当たり前が難しい」(松下幸之助氏)

「いちばん危険なのは社長」社長の判断ミスは命取り、とおっしゃっています。「…雨が降れば傘をさすというようなことはだれでも知っています。傘もささずにぬれ放題というものは、よほど奇矯な人でもなければやりません。ところが、商売や経営のこととなりますと、これがなかなか当たり前にはいかなくなります。私心にとらわれて判断を誤り、傘もささずに歩きだすようなことを、しばしばしがちです。…」

「経営のコツここなりと気づいた価値は百万両」PHP文庫・松下幸之助氏著
  • 利益が見込めないお店を出店しようとする社長様は少なからずおられます。
  • 本業不振で大きな赤字に転落して、返済猶予を受けながらも、余剰人員の削減も行わずに、長期間粘り続ける社長様がおられます。長年かけて蓄えた資産の底も見えてきました。
  • 門外漢の新規事業に大きな投資をして、上手く行かずに途方に暮れる社長様もおられます。

経営者は、時に「傘もささずに歩きだす。」こんな判断をくだします。「商売や経営のこととなりますと、これがなかなか当たり前にはいかなくなります。」ということでしょうか。

「…もし社長がちょっと見積もりを誤ったら、パーッと百億円ぐらいは簡単に損してしまう。だから、会社にとっていちばん危険なのは、社長だということになる。…」

〔松下幸之助氏・経営語録〕

■融資を受けるための数値計画作成のコツ(銀行融資プランナー協会)

売上目標が大きすぎると、その蓋然性の説明に苦慮します。売上目標が小さすぎると、その借入の返済ができません。
※自社の事業を広く世に問う、このような状況の事業(数値)計画ではなく、金融機関向けの計画書を想定しています。

創業融資や設備投資、新店出店時の融資を受けるためには、金融機関に提出する数値計画の作成が必要です。どのような計画を作成するのか、コツをお伝えします。
売上目標が大きすぎると、その蓋然性の説明に苦慮します。一方、売上目標が小さすぎると、その借入の返済ができません。
銀行融資プランナー協会の推奨する財務部長として当事務所が作成する数値計画は、融資金額を返済するために必要な(返済後)損益分岐点売上を基準にした資金繰り計画書です。資金が適切に回るように逆算して作ります。単に融資のためだけの計画にはなり下がりません。社長様に対して、最低限必要な売上を示唆する目標計画としての役目を果たしています。

…次回につづく

田中英司 (GPC-Tax本部会長・ 銀行融資プランナー協会代表理事)

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